村上龍 悲しき熱帯

 今日から村上龍「悲しき熱帯」。フィリピン、ハワイアン・ラプソディ、スリーピー・ラグーン、鐘が鳴る島、グャムという熱帯を舞台にした5編を収録した、「ニューヨーク・シティ・マラソン」と並ぶ代表的な初期の短編集です。

 そういえば何かの雑誌で無人島に持って行く1冊みたいな企画をやっていて、ある高名な方が「悲しき熱帯」をその1冊としてあげていたんです。えっ、うそぉ~、カッコいいなどと喜んでいたら、よく見たらレヴィ=ストロースという方の書いた「悲しき熱帯」でした。

 おい、おい、ダメだよ、龍さんのタイトルをパクッちゃとブツブツ言ってたら、レヴィ=ストロースさんの方が遙か昔に書いてるんです。で、「悲しき熱帯」という翻訳で日本に登場したのも1977年みたいで、1984年に刊行の龍さんの方が後みたい。チェッ!

 まぁ、そんな事はどうでもいいほど、作品の内容にベストマッチなタイトルでつくづく感心してしまうのが、龍さんの「悲しき熱帯」です。