村上龍 音楽の海岸 Returns! 3

 変態的 Sex & Violence の村上龍「音楽の海岸」。このまま単なる変態色物小説で終わるのかと思いきや、さすがに龍さん、最終章でぐいっと惹きつけてくれてます。

 小説タイトルと同じ「音楽の海岸」というサブタイトルを持った最終章は、ボリューム的には恐ろしく短い章ですが、今までの風景を一変させるような思慮深く、そして暖かい視点で書かれており、物語自体を意外な結末へと導いていきます。

 最終章は小学校に上がる前に命にかかわる病気を発病し、20歳を過ぎた今でも病床生活を強いられているたった1人の妹を、ケンジが北海道の療養所に1年ぶりに見舞いに訪れる場面です。

 病弱の妹、一方で十分すぎるお金を持ち、綺麗な女性達に囲まれ、自由奔放に生きてきた兄のケンジ。この場面での、お互いを尊敬し慈しむ兄妹たちの対峙こそが、この小説の神髄となっています。そして龍さんが、最後の最後に切るカードは希望です!

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