村上龍 音楽の海岸 Returns! 2

 村上龍「音楽の海岸」は、物語が少し弱いように感じます。

 主人公ケンジは、ある映像作家を社会的に抹殺するために、用意周到に計画し、事前の準備を着々と進めていきます。この辺りは龍さんお得意の立体的描写がなされています。ところがこの物語のクライマックスであるべき実際の抹殺場面についての描写が、な、なんとごっそりと欠落しているんですよ。えっ、登場人物の回想の形で断片的に登場するだけなんです。これには多くの読者が肩透かしを食らったのではないでしょうか?

 この場面、描写したとすれば相当な暴力的・性的・変態的場面になったハズ。でも、龍さんがそんな事に遠慮するワケがないので、ここはあえて読者の想像力に委ねる事の効果を狙ったのでしょう。でもねぇ?

 物語が弱いと感じるのは、この場面の描写が無いからだと思います。個人的にはこの場面、何ページも割いた超緻密な描写で読んでみたかったなぁ!

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