村上龍 共生虫 6

 Darkな題材をてんこ盛りにした村上龍の「共生虫」が、作品としては暗いイメージにならず、むしろ希望を感じる作品になっているのは、作品の後半、ウエハラくんが体内の共生虫により覚醒していく姿が力強く描かれており、読者がウエハラくんに同調していくからだと思います。

 個人的に好きな箇所に、駅前のオープンカフェでの場面があります。8年間ひきこもり、1人ではコンビニで買い物をする事すら出来なかったウエハラくんが、テーブルでノートPCを広げています。そこに若く美人であろうウエイトレスが何かお持ちしますかと尋ね、それに対してはっきりとした声・堂々とした態度でコーヒーをお願いしますという場面。

 自信に満ち、迷いが無く、生き生きとし、それでいて謙虚なウエハラくんの姿に、勇気づけられますね。僕、この場面結構ジーンと来ました。ジ~ン!

 読み進める内に、いつのまにかウエハラくんのファンになっている自分にもビックリ!