村上龍 音楽の海岸 3

 村上龍の「音楽の海岸」というタイトルは、「音楽」「海岸」という日常よく使用する2つの名詞を「の」で繋げただけなのに、繋がった後の「音楽の海岸」という響きはムチャクチャにカッコいい。

 龍さんの他の作品タイトル「愛と幻想のファシズム」「希望の国のエクソダス」などもカッコいいけど、非日常的な名詞を持ってくる事によるインパクトの強さに負っている部分もあるでしょ!

 同じくカッコいいと思う「限りなく透明に近いブルー」「海の向こうで戦争が始まる」などは、ありふれた言葉の組み合わせなんだけど、4つも言葉を組み合わせている。「音楽の海岸」はたった2つ。

 そもそも「音楽の」の後には、時間、発展とかの抽象概念を表す名詞が続くのが普通で、「海岸」などという有形なモノを表す名詞は続かないのが普通だと思うんだけど。いずれにせよ平凡な2つの言葉を並べただけの「音楽の海岸」、タイトルとしてあまりに非凡!